島ヨガとは、石垣生まれの石垣育ちの方々がつくる雰囲気であり、ゆるやかな時間の流れである。単に石垣島でやるからといって、あるいは特定のポーズをやるからといって、島ヨガになるわけではない。必要なのはしまんちゅだ。つまり生徒さんが主役なのである。インストラクターなんて聞き役みたいなものに過ぎない。存在しなくていいかもしれない。そこにはむしろ、さんぴん茶と、サーターアンダギーが必要かもしれない。
換言すれば、以下のような会話のなかに島ヨガは成立しえる。
「そのカバンかわいいさね」
「自分で作った」
「そんな顔して手先が器用」
「このひと何でも上手に作るさ」
「そんな顔して」
「だからよ」
伝わっただろうか。この自発的な雰囲気なのである。誰かが気を遣って、話題をトスするわけではない。ほっとけば勝手にボールが飛び交う。そのボールとは、島言葉であり、ぬくもりであり、笑いであり、この世の美なのである。そこには調和がある。愛の交歓がある。彼女たちはそれを「ゆんたく」と言う。直訳すると「おしゃべり」なのであるが、いやいや、しまんちゅのおしゃべりはもっと奥が深い。くつろいでいる。親密だ。家族みたいな。僕みたいな部外者は入りえない。そこには一つの意識がある。島。
Comments