『レ・ミゼラブル』を読破する。2か月かかった。よほどの根気がないと読み切れないのだろうし、よほどの暇人じゃないと読もうという気すら起きないのだろう。これを読破した人は褒めるに値すると思う。暇人ってだけかもしれないけど。 B型は我が道を行く。読みたい本があるから死ねない。音楽を聴いていたらしあわせ。外見もどうでもいいし金も要らんが、自分の時間は尊ぶ。それはつまり『レ・ミゼラブル』を読む自由である。すごかった。19世紀的長大さ。百科事典を読むような2500ページ。21世紀の人間は誰もこんな書き方しないし、書いたとしても読んでくれる人は皆無だろう。石垣島に1人ってくらいの確率じゃあるまいか。みなさん忙しいから。 B型は我が道を行く。自慢するわけじゃないけれど。誰もいない夜の海で泳ぐし、出会う猫にはとりあえず話しかける。犬にはなぜか話しかけない。向こうでも僕のことを嫌っている。猫に好かれているかというと、そうではなく、10猫ちゅう9猫から警戒される。誰やねんこいつ。逃げられる。餌付けするのは邪道だと思う。誠意でやつらと仲良くなりたい。それはとても難しい。爪を立てて攻撃され、手から血が流れる。 B型は我が道を行く。悲しいかな、それはとても難しい。夜の海で泳いでいると鮫が近寄ってくる。死ぬのは恐くない。なぜだか最近、恐怖というものを感じない。鮫の方でもこういう人間を相手にするのはつまらないから、ふんふんふーん、とどこかへ泳ぎ去る。でもいつかは死ぬのだろう。みなさんにはご迷惑おかけしますね。うちに来ていただいてもなぜか扉は閉まっている。あの阿呆はどこかへ失われました。もはやみなさんとヨガすることはございません。惜しいのはこういう会話が交わされることだ。 「あいつ夜逃げしたんじゃねーの」 「二日酔いで寝てんだよ」 「ふざけとるさね」 「死ね」 僕はこっそり物陰から覗いている。誰にも見られない。もはや実体はない。8月の光で蒸発した水みたいなものだ。苦痛はない。どんな感情もない。ただ見つめている。ひとりがこう言ってくれても何も感じない。 「明日はいるかな」