伊坂幸太郎を読む。『陽気なギャングが地球を回す』。伊坂氏は裏切らない。颯爽としている。ストーリーのリズム感、文体の歯切れの良さ。 響野は言う。「ロマンはどこだ」。そして銀行強盗へ向かう。 いいですね。ロマンを求めて男は生きるわけだ。あるいは女性もそうなのかな。どうだろう。僕には現実的なひとが多いように見受けられるけど。みなさんにしてみれば、「男ってバカだから」ってことになるのだろう。その通りだから、すみませんと謝るしかないわけだけど。 しかし男はロマンを求めるのです。それがなくちゃ男じゃない。個人的にはヨガの流れだってそう。手本としているのは音楽で、シューベルトのD. 894のソナタだったり、マイルズ・デイヴィスのソロだったり。自発性と、自然さ。旋律が旋律を追いかけていくような。そしてそこには論理的な筋も通っている。冷徹さというか。どんなに熱くなっても我を失わない。 「ロマンはどこだ」。4人の銀行強盗にもモットーはある。美意識だったり、リスクのない暴力を忌み嫌ったり。ときには自ら代償を支払う。人質たちにはリップサービスを惜しまない。観客を前にしたエンターテイナーのように。最後は深々とお辞儀して退場する。 愚かしさ、かっこよさ。ロマンがないとつまらない男になってしまう。死んだように生きるのが嫌なら青臭いロマンスを求めていないと。許して。バカだから。